「ビジョントレーニング」と見る力のプリントの関係
見る力のプリントを探していると、「ビジョントレーニング」という言葉をよく目にすると思います。このコラムでは、この言葉がどんな取り組みを指しているのか、そして MIRU LAB KIDS のプリントとどう関係しているのかをご紹介します。
「ビジョントレーニング」と呼ばれている取り組み
「ビジョントレーニング」は、目の動きや、見たものをとらえて理解する力を育てることをねらった取り組みを、広く指す言葉として使われています。もともとは、アメリカなどで目の専門家が行ってきた訓練がもとになっていると言われています。日本でも、眼科やリハビリ、学校や療育の現場など、いろいろな場所でこの言葉が使われてきました。
ひとくちに「ビジョントレーニング」と言っても、その中身はさまざまです。たとえば、次のような取り組みが含まれていることが多いです。
- 動くものを目で追ったり、2つのものをすばやく見比べたりする、目の動きの練習
- 両目を寄せたり離したりする、両目のチームワークの練習
- 形を見分けたり、たくさんの中から探したり、位置や向きをとらえたりする、見たものを理解する力(視覚認知)の課題
- 見ながら線を引く、なぞる、ボールをとらえるといった、目と手(体)を一緒に使う練習
なお、「ビジョントレーニング」という言葉は登録商標でもあります。MIRU LAB KIDS は、この言葉を使っている団体や資格とは関係がありません。このサイトでは、ふだんは「見る力」「視覚認知」という言葉を使っています。
見る力(視覚認知)との関係
コラム「見る力(視覚認知)とは」でご紹介したように、見る力には、目を動かす力、形をとらえる力、位置や向きをとらえる力、見て覚える力、目と手を一緒に使う力など、いくつもの中身があります。
「ビジョントレーニング」と呼ばれている取り組みの多くは、この見る力のどこかを使い、育てることをねらったものだと言えます。言いかえると、同じ方向を向いた取り組みを、別の言葉で呼んでいることが多いのです。
プリントで取り組めること
紙のプリントが得意なのは、見たものを理解する力(視覚認知)や、目と手を一緒に使う力の課題です。机の上で落ち着いて取り組め、難しさを少しずつ変えていけるのが良いところです。
MIRU LAB KIDS では、たとえば次のような課題を用意しています。
- かたちさがし:同じ形を見分けて、紙全体から探す
- ナンバータッチ:散らばった数字を、1から順に目で探していく
- シンプルめいろ・すうじめいろ:道を目で追い、先まで見通しながら線を引く
- てんずうつし・えの てんずうつし:線の位置や向きをとらえて、見たとおりに写す
それぞれの課題のページに、どんな力をねらっているか(ねらい)を書いています。お子さんの様子に合わせて、課題を選ぶ手がかりにしてください。
プリントだけでは取り組みにくいこと
一方で、紙のプリントでは取り組みにくいこともあります。
- 両目を寄せたり離したりする練習のように、目そのものの使い方の練習
- ボールを目で追ってとらえる、体を動かしながら見る、といった体全体を使う練習
たとえば、両目を内側に寄せる力が弱い子どもたちを対象にした研究では、専門家のもとでの訓練と家での練習を組み合わせて取り組まれています(Scheiman ら, 2010)。こうした目の使い方の練習は、目の専門家に相談しながら進めるのが安心です。
また、体を動かす遊びや、毎日の生活の中のいろいろな経験も、見る力を使い、育てる大切な機会です。プリントは、その中の一つの道具として使っていただけたらと思います。
気になることがあるときは
「文字を読むときに行を飛ばす」「目が疲れやすい」「物によくぶつかる」など、見ることについて気になる様子があるときは、まず眼科で、視力や目の病気がないかを確かめてもらうことをおすすめします。そのうえで、学校や療育の先生、リハビリの専門職など、身近な専門家にも相談してみてください。
プリントは、どなたでも気軽に始められる取り組みです。「ビジョントレーニング」という言葉を入り口に、お子さんの「見る力」に目を向けるきっかけになればうれしいです。
参考にした研究
- Scheiman M, et al. Vision therapy/orthoptics for symptomatic convergence insufficiency in children: treatment kinetics. Optometry and Vision Science. 2010;87(8):593-603.